霧谷 海兎のキリトリセン

お金や投資を中心に、さまざまなことについての知識・経験・思考を共有していきます。

後出しの解説に騙されないために

はじめに

こんにちは、霧谷 海兎です。皆さんは後出しじゃんけんをしたことがありますでしょうか?相手が手を出した後にこちらが手を出す、もしくはその逆というじゃんけんです。後出しをする方が(よほど頭が悪くない限り)必勝のじゃんけんです。この後出しじゃんけんに似たようなことが現実でも行われています。

 

株が上がった/下がった原因は××だ

「今日の日経平均株価は、前日の米国市場の結果を嫌気して大幅安となりました」といったようなニュースを耳にしたことがあると思います。このような解説がなされる一方で、米国市場が大幅安となっても日経平均が下がらないケースだっていくらでもあります。

 

こうしたある2つの既に出た結果を見て、正解に見えるそれっぽい解説をすることは非常に簡単です。もちろん、その解説が正解である場合もあるでしょう。しかし、少なくとも正しいかどうかは、その解説を聞いただけでは判断できないわけです。

 

少し前にウォーレン・バフェットが商社株を買ったことが話題になりました。その報道を受けて

バフェットが日本を評価しているのに、日本人投資家が米国に投資しているのは滑稽だ。割安な日本株に投資すべきだ

といった旨のツイートがされているのを目にしました。

 

結構拡散されていたようなので、真に受けて今まで持っていなかったにも関わらず個別の日本株を買った人もいるかもしれません(商社株のイナゴトレードした人も多そうです)

 

このツイートの主張が正しいかはさておき、注視すべき点が多いことは確かです。

 

①バフェットが投資したのはあくまで五大商社であり、日本を評価したと解釈するのは拡大解釈過ぎる(バフェットがこれから先更なる日本企業の株式取得に乗り出すならそう解釈しても良いかもしれないが......)

 

②バフェットが真理ではない。バフェットもIBMの投資などで失敗しているし、そもそも投資家個々人によってトレードスタイルは異なる。バフェットと違う方針をとる人間を愚かだと言い切るのはいかがなのものか。

 

③個人の主張が以前から一貫しているか

 

③に関してですが、以前から「日本株に投資すべきだ!」と主張していた人が、バフェットの商社株購入を受けて「ほらね!」と主張したがるのは心情的にはとても理解できます(正しいかはさておき)

 

しかし、「米国株が強いんだから米国に投資すべき!S&Pインデックス全力で良い」なんて言ってた人が、手のひらを返したように主張するようなケースも散見されます。少なくとも、他人の意見にホイホイ流されて自分の意見を変えるような人の言うことは真に受けない方が良いでしょう。

 

意見や主張を変えることを否定はしません。むしろ、自分の考え方は必要に応じてどんどんアップグレードしていくべきだとすら思います。一方でその変更の根拠が「他人が言ってたから」というのはいただけません。

 

こうした軸がブレて考え方が他人に左右されてしまったり、後出しの解説に上手く丸め込まれないためにできることは2つあります。

 

1つ目は、そもそも自分で考える習慣をつけることです。地道なものにはなりますが、意思決定や分析を行う上で欠かすことのできないものです。自分で考えられない人間はつけこみやすく、搾取の対象となります。

 

2つ目は、質の違う情報源を複数持つということです。ニュースメディアだけでなく、知識の多い人との繋がりを持ったり、SNSを上手く活用したりすることで、偏った情報に惑わされるリスクを減らすことができます。もちろん、1つ目の自分で判断できる力が前提となります。

 

おわりに

今回は、ニュースやSNSで見られがちな「後出しじゃんけん」についてのお話でした。後出しじゃんけんをする彼らは、材料がそろってからそれらを継ぎ接ぎします。部分部分は正しいものなので、一見真に受けてしまいそうになりますが、全体としては間違いなんてことはざらにあります。そうならないためのリテラシーは高めたいものですね。

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