霧谷 海兎のキリトリセン

お金や投資を中心に、さまざまなことについての知識・経験・思考を共有していきます。

「原因と結果」の経済学

こんにちは、霧谷 海兎です。最近暑さが和らいできましたが、未だにアイスが手放させません。夏はアイスです。ちなみに霧谷は冬にコタツで食べる雪見だいふくが大好きです。冬もアイスですね。

 

朝ご飯を食べると成績は上がる......?

ところで皆さん、「朝ご飯を食べる子供は成績が良い」という話を一度ぐらいは聞いたことありますでしょうか。仮に、小学校の40人のクラスで算数のテストを行うとします。同時に児童全員に、毎日朝ご飯を食べるかどうか尋ねます。採点を行った後、朝ご飯を毎日食べる児童のグループ朝ご飯を毎日は食べないグループの平均点を比べたところ、前者は85点、後者は75点でした。

 

さて、この結果から、「朝ご飯を食べれば成績が上がる」と言えるでしょうか?

 

答えは言うことはできないです。朝ご飯を食べるかどうかと成績には相関関係があります。しかし、原因と結果の関係、つまり因果関係があるかどうかはこの実験だけでは知ることはできません。朝ご飯を毎日しっかり子供に与える家庭では、教育も充実しているかもしれません。他の条件による影響があるかどうか分からない状態では、相関関係があるからと言ってそこに因果関係があると確定することはできません。

 

因果関係があるかどうかを確かめるために用いる手法としては、ランダム化比較試験というものがあります。上の例でランダム化比較試験を行うとすると手順はこのような形になります。

 

(1)児童を20人ずつランダムに2つのグループに分ける

(2)片方のグループは毎日朝食を食べてもらう。片方のグループには朝食を抜いてもらう

(3)ある程度経った段階(たとえば1ヶ月)でテストを行い、成績を比べる

 

グループ分けを男女で行った場合は男女差が出る可能性があります。同様に、どちらのグループで実験を行うか児童に決めてもらった場合、性格や志向の差が成績に影響を与えるかもしれません。このような影響を取り除くために、グループ分けはランダムで行わなければなりません。

 

ですが、常にこのように実験ができるとは限りません。例えば「大学の偏差値と収入に因果関係があるか」を知りたいときに、意図的に被験者を用意し、他の条件を一致させて比べる、ということはかなり難しいでしょう。このように実験を行うのが、規模や予算・その他さまざまな要因で難しい場合は、データを収集しそれを分析しなければなりません。そのうえで、相関関係を因果関係と誤認してしまわないために、さまざまな統計手法を用いて分析を行います。

 

ここでは説明は省きますが

 

・差の差分析

・マッチング法

・回帰分析

・操作変数法

・回帰不連続デザイン

 

などがあります。詳しくは『「原因と結果」の経済学』で説明されているので、興味がある方は読んでみてください。

 

 

 

テレビや新聞では、相関関係があるだけのデータをさも因果関係があるかのように説明する場合が少なくありません。

例えば株価が下がった場合「●●を懸念して株価は調整」などという記事が出ることがあります。これは後出しじゃんけんで、本当にそれが原因かどうかという根拠は曖昧です。

 

与えられる情報をただ鵜呑みにするだけでなく、正しく情報を手に入れ判断するためにも、統計学について知ることは有益ではないでしょうか。

 

 

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